おばあちゃんのおもひで養命酒ばーじょん(武蔵小山温泉思い出ブログ)
2017年09月23日
おばあちゃん歌子は清水湯の実質番長でした。オヤジもおじいちゃんもましてやオフクロもだれも逆らえなかった永遠の番長。本当の創業「菊太郎」が手塩にかけて育てた本物の銭湯の娘であり女将であったおばあちゃんは番台がとても似合っていた。多くの常連さんのお客さまをその笑顔で虜にしていたおばあちゃん。戦前10軒以上銭湯をもっていた菊太郎ひいおじいちゃんの後ろ姿を見て育ったおばあちゃんはどこか威厳があって頭の切れもよくて、オヤジがおじいちゃんより怖がっていた。おばあちゃんは毎日牛乳をコップ一杯飲んでいた。
そして夜寝る前に黒っぽいビンをおもむろに取りだしてキャップをコップにしてとくとくと注いで一気に喉に流し込んでいる風景をよく目にした。すると「太郎のみなさい」といわれておばあちゃんの飲んだ後のその赤っぽいキャップを手渡されて大事そうに注いでくれる濃い琥珀色の液体、ボトルには漢字で「養命酒」と書いてあったのを覚えています。命を養うお酒。子供なのにお酒飲んで大丈夫なのかなと思いながら一口含めるとものすごく甘くて漢方薬のような味。そんないつまでもおじいちゃんのために若くも美しくありたいと思い続けたおばあちゃんはどこか養命酒の味がするのでした。先日アマゾンで買った養命酒。今のんでもあまり美味しいものじゃないけど、パブロフの犬のようおばあちゃんの顔を思いだせるから今度銭湯の事で悩んだらまたキャップになみなみ満たして飲もうかなと思ってます。創業者菊太郎、初代じつきおじいちゃん、歌子おばあちゃん、二代オヤジそして三代俺。銭湯の血脈にはいろんなものが思い出の一ページになるものなんですね。
武蔵小山温泉 清水湯 若旦那談。
カテゴリ:想い