シューマイ弁当は子供時代の思い出。(武蔵小山温泉グルメ散歩)
2016年12月10日
白いタイルがただキレイだった清水湯。いつももうもうと湯気を上げていて人々を近寄らせない閑古鳥が出すオーラがあった清水湯。お客様がいないから普通に浴場が汚れなかったし、二代目のオヤジが塩素だけはふんだんに投入してたからお湯も汚れなかった清水湯。少ないお客さまの中に混じって毎日このクソ熱い風呂に入りに来てくれていた「スズキのとっつあん」がいた。夜8時になると必ず二つある浴槽の端の半畳ほどの風呂屋の俺も何のためにあったのかしらないスペースに腰かけて風呂に入ったり出たりを繰り返して体中に大粒の汗をかきながらたまに浴槽のお湯をくんで汗を流す、そのとっつあんの時間に合わせ毎日俺も風呂にはいっていた。たまの日曜日の休みの日は一緒に横須賀の安浦という埠頭まで行って釣りをしに行った帰り道、お互い釣れなかった横浜駅の赤い看板のまえで小銭を数えて、黄色い包みの弁当を一つ買ってくれたことは当時小学生だった俺の記憶にいつまでも忘れることなく刻み付けられているのです。
そんなとっつあんも俺が中学に上がってだんだん悪くなるのを苦々しく見ていてしばらくして自宅に風呂を作ってしまって、そのあとは道でたまにすれ違うだけとなってしまったけど、ある日、「太郎、ちょっと家にこいよ」といわれて行ったとき、釣り道具を仰山もらったあとポックリといってしまったとっつあん。いまでもあの頃、北風が強い中、2人で海に向かって小便したとき、それが逆風だったために出た途端全部U字型になって小便が戻って来てびちょびちょになってしまったこと、なんとなく喧嘩っ早かったとっつあんにケンカの仕方を教えてもらったこと、「崎陽軒のシュウマイ」をたべる度に思いだすよ。その後、孫の未来くんに空手を教えて黒帯になるのまではあの頃はちょっと想像もできなかったけどね(笑)崎陽軒のシューマイ弁当はどことなくほろ苦い思い出の1ページを思いださせてくれる優しくて、温かい隠し味が隠されているのだと思う。おごってもらうだけで何も恩を返せなかったとっつあんを偲んで。
武蔵小山温泉しみずゆ若旦那談。
崎陽軒のシューマイ弁当の思い出。
崎陽軒シューマイ弁当 http://www.kiyoken.com/products/obento/shiben.html